2006年01月20日

はてなブックマークに追加東京地検特捜部のターゲットはどのようにして決まるのかを知らない

創難駄クリキンディーズ2004福岡: ライブドアが強制捜査された件について、「出る杭は打たれる」を持ち出す人達の日本語力は大丈夫ですか?
ガ島通信 - 東京地検特捜部を知るための本
ガ島通信 - マスコミは国民の鏡

上記エントリを読んでいろいろ考えたのですが。

結論から言うと、東京地検特捜部はどうやってターゲットを「それ」に絞るのか───つまり、日本全土に跳梁跋扈するおびただしい罪どものなかから、いかにして自分たちが総力をあげて調べ上げるに値する標的を確定させてくるのか、僕はその基準についてほとんど知らないなぁと。

昨年『国家の罠』という本を本屋で買って読んだのだが、あれほど社会の癌扱いされた鈴木宗男や佐藤優が、これを読む限りでは(異分子ではあっても)罪人では決してないと思えてくる。著者である佐藤優が一連の考察を経て得た結論は、つまりはこれは政治のけじめを付ける意味での“国策捜査”だったのであり、自分たちはその中で逮捕→起訴の標的にされたんだというものだった。

だが、今回の標的についてはそうではない。ライブドアは全会一致で日本経団連に加入が認められた企業であり、社長のホリエモンは政治権力の全面バックアップを受けたことのある人物だ。つまり異分子でありながらも政治的・経済的には強者の側につながることができている個人なり企業だった。そこに捜査当局のメスが入る。

即ちこれは、特捜検察はいつも強者の立場に立つのではないという、無言のアピールにもなっているわけだ。

論理的にはやや飛躍があるが、今回の捜査に目的があるとすれば、それは証券市場の健全性の回復という、極めて公益性の高い目的ではないだろうか。違法とまでは言えなくても、証券市場の信頼を揺るがしかねない行為を(目立つ場所で)次々と繰り出す企業に対し、一度メスを入れておく必要があると判断した上での検察の捜索だったのではないだろうか。そしてこの点において重要なのは、目立つ場所でやったということなのではなく、証券市場の健全性を揺るがしかねない行為をやり続けてきたという部分なのである。

つまりこの事件においては出る杭が打たれたのではなく、曲がった釘が抜かれたと見るのが正しいと思う。曲がった釘の大きさはこのさいあまり関係がない。

また同時に、ホリエモンのようなやり方が出てきたときに、日本の市場や投資家や、法整備を考える立場にある人たちの予見・対応能力が、十分でなかったという点についても、露見したと見るべきだろう。

僕個人的にはあまりホリエモンは好きではなく、各所で礼を失し、記者会見で口を開けば御為ごかしであるさまを見るにつけ、いけすかない奴だなと常々感じている。だが昨年の一件以来世論があまりにも彼を支持するので、彼の何が良いのか、自分もこの男を好きになれるとしたらどの部分だろうかと、相当真剣になって深く考え続けてきたつもりなのだ。


Amazon.co.jp:特捜検察 - 岩波新書: 本
Amazon.co.jp:特捜検察の闇 - 文春文庫: 本
Amazon.co.jp:国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて: 本
posted by 猫並 at 16:51 | Comment(7) | TrackBack(0) | ライブドア考 |
この記事へのコメント
ご無沙汰しております。
(でも、時々覗きには来てました)
当ブログエントリを紹介くださり有難うございます。

>つまりこの事件においては出る杭が打たれたのではなく、曲がった釘が抜かれたと見るのが正しいと思う。

なるほど、それはしっくりきました。

東京地検特捜部については、このところ非常に興味が湧いてましたので、こちらにご紹介の本を読んでみようと思います。
Posted by cap@創難駄クリキンディーズ at 2006年01月20日 18:03
コメントありがとうございます。
ちょくちょく見に来て頂いているとのこと。嬉しい限りです。

警察や検察といった組織が積極的に活躍する社会ってのもどうかとは思うわけですが、このようなものがないと社会が成立しないのも事実です。

しかし『国家の罠』を読むと、検察官もまた人であり組織の中で働くサラリーマンであり、決して君子の如くに悪者をとっつかまえているわけでもないんだなということがよく分かる。そうなると、警察力っていうのは誰が監視するのか、捜査が入った段階で社会的信用やら何やらをほとんど失うこの社会で、警察力についてあまりにも自分は知らなかったかなぁと思い当たったりした次第です。

上記の本はどれもガ島通信さん経由で知ったものですが、近所の図書館にある本もあるようで、早速読んでみようと思っています。

別件:貴ブログの別記事にも、先程TBさせていただきました。
Posted by 猫並 at 2006年01月21日 03:00
>別件:貴ブログの別記事にも、先程TBさせていただきました。

そのTB、ウチのほうへ送られてないようです。
ご確認願います。
Posted by cap@創難駄クリキンディーズ at 2006年01月21日 19:40
大変失礼しました。
トラックバック先URLとして書くべきものを、「記事の概要」欄に書いていたようです。

古い記事宛のトラックバックですが、今再送信させていただきました。
Posted by 猫並 at 2006年01月22日 01:39
TBきました。
ありがとうございました。

ところで、ウチのブログのコメント欄にて、ももしろうさんより情報をいただきました。
山陰中央新報の、『ホリエモンと国家権力』というタイトルのコラムですが、こちらのエントリと同じく『国家の罠』を紹介しながら、まるで違う趣旨になってます。

http://www.sanin-chuo.co.jp/column/modules/news/133078034.html
Posted by cap@創難駄クリキンディーズ at 2006年01月22日 09:42
コメント、そして情報ありがとうございます。
ご紹介の記事、興味深く拝読いたしました。

生々しくも強力な特捜部の仕事ぶりを紹介する目的で『国家の罠』が引きあいに出され、歯に衣着せぬホリエモン語録に「ここまで語れば、虎(特捜部)も動かざるを得なかった」と述べています。これはしたがって「出る杭」論に近いものがあるかも知れません。

山陰中央新報のコラムは今回の東京地検特捜部を『虎』と表現しました。今回の強制捜査はライブドアへのカウンターアタックという受け止め方を世間がしているのは間違いありません。ただそれが、ライブドアの「何」に対するカウンターアタックなのかとう点については、意見もわりあい割れているような気がします。

ある人はそれは「出しゃばりすぎた」ことへのカウンターアタックとして「出る杭」論を展開し、cap@創難駄クリキンディーズ2004福岡さんは「容疑事実」へのカウンターアタックだと述べられていたと思います。また僕は、市場と投資家を軽く見た灰色手法によって証券市場の健全性を揺るがしていたことへのカウンターアタックではないかと思っています。そしてこれらはいずれも、黒ずくめの捜査官が列をなしてヒルズの建物に突入する突然の強制捜査劇で、世間的印象的にはその目的をほとんど果たしたと言えると思われます。

ただ、少なくとも法律に基づいてやや杓子定規に物事を考えるなら、最大三回の審判を経て罪が確定するまでは罪人ではありません。起訴されるまでは容疑者であり、公判中はあくまでも被告です。にもかかわらず、隊列を成して強制捜査に乗り込むだけで世間的な信頼はほぼ失われるという現状と、そうした世間の印象をきちんと計算して乗り込む特捜という組織。まかり間違えばかなり危ない組織になるのではないのかという気もするというのが印象だったりするわけです。

『国家の罠』によれば捜査される側にも応分の言い分があるにも関わらず、なかなかそれは報じられないこともあるということもすごくよく分かるように書かれており、自分自身もこのあたりをどう考えればよいのかについてかなりふらついてしまうようなところがあります。『国家の罠』自体が世間的には罠だったりするのかも知れません。

誤解されているかも知れませんがこれはあくまで特捜検察に対する一般論です。今回の案件では検察も立件に自信を持っていると思います。また報道によれば着実なペースで証拠調べや分析も進んでいるようです。強制捜査の一報には驚きましたが、ライブドアはある意味いつガサ入れを受けてもおかしくない黒い組織だという印象も僕は持っていましたし、市場におけるそうした灰色手法に一定のNOを突きつける意味でも、強制捜査は歓迎すべき事態だったと感じています。ライブドアはやはりそういうところにカウンターパンチを受けたのではないかということです。

僕はホリエモン信者でも擁護派でもありませんが、やはり無茶苦茶な理由で人が吊し上げられるというのを納得したくはないと思っています。そういう意味で、いろいろ考えてしまっているというわけですね。


記事に書いた『特捜検察』は、昨日借りて前書きだけは読み終わりました。その前書きでは、マスコミの目を眩ます数々の仕掛け、著者自身も変装やおとり作戦で再三地団駄を踏まされたことなどを挙げながら、同時に折角の捜査案件を不起訴や略式起訴で済ませた例も紹介しています。そして「真実を追究して止まない捜査官気質と、ときに政治的判断と組織防衛を優先させる官僚体質。いったいどっちが彼らのほんとうの顔なのだろう」と、この本のテーマをまとめています。

興味深い本だと思います。
Posted by 猫並 at 2006年01月23日 07:26
「出る杭」論について。報道ステーションなどに出ておられる証券アナリストの佐山展生氏も自信のブログの中でコメントされています。彼は、「今表面化しているものだけが問題で特捜部が入っているなら」出る杭は打たれると主張する気持ちも分からなくはないが、一連の捜査はより大きな目的へ向かっていると思われ、全貌が解明されない限り評価は難しいとの意見のようです。

Random Talk 佐山展生 : I think... 現在の思い:
出る杭は打たれるのか?:ライブドア問題 2
http://www.nobuosayama.com/ithink/archives/2006/01/oyhfcuhaq.html

参考にどうぞ。
Posted by 猫並 at 2006年01月24日 07:43
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